誰もが一度は気になったことのある口臭。マウスウォッシュなどのケア用品で改善されることもありますが、場合によっては口腔内や消化器系の病気が原因のことも。
この記事では口のにおいを引き起こす「病的口臭」の主な種類を解説します。自分の身体の様子に似ているかも…と感じたら早めに専門医療機関を受診するようにしてくださいね。
口臭の2大分類
一般的に私たちが口臭として認識しているにおいの中に、実は細かい分類があるのを知っていますか?
生理的口臭と病的口臭
口臭の原因は主に「生理的口臭」と「病的口臭」の2種類。

「生理的口臭」は起床時や緊張時など、日常生活のいろいろなシチュエーションで生じるもの。健康状態の良し悪しにかかわらず、ほとんどの人が経験する可能性があるにおいです。
一方、「病的口臭」は疾患によって引き起こされるもの。歯や歯茎、舌を含む口腔系器官のみならず、消化器系や呼吸器系などの全身由来の病気も考えられます。
口臭でわざわざ病院に行かなくてもいいんじゃないの?と大げさに思うかもしれませんが、口臭症はれっきとした病気。歯科医をはじめ、医療機関での適切な治療が必要になります。
「病的口臭」って?
治療が必要な病的口臭の原因はさまざま。
8割以上の病的口臭の原因は歯周病をはじめとする口周りの病気だと言われていますが、最近の研究では全身の健康状態がにおいに与える影響にも注目が集まっているそう(1)。
病的口臭は体内の器官の不調によって生じる「身体的口臭」、精神的不安やストレスによる「心理的口臭」の2つのグループに分類されます。
身体的口臭
身体的(器質的)口臭とは、口腔器官をはじめ身体の器官が炎症を起こしたり、慢性的な病状を繰り返したりすることで生じるにおい。
においを引き起こす病気は多岐にわたりますが、特に多くみられる病気と特徴的な症状をいくつか挙げてみましょう。
歯科口腔系の病気
代表例:歯周炎、歯肉炎、炎症舌苔(ぜったい)など
歯磨きが不十分で口内の細菌が蓄積されると、炎症が起こって歯茎が赤くなったり腫れたりします。
炎症によって歯周組織が壊されると、口内のタンパク分解が促進され口臭の原因となる物質も増殖することに(2)。
歯周炎の主な症状はこちら。
- 口内のネバつき
- 歯茎の腫れ、痛み
- 歯磨き時の出血
- 固いものが噛みにくい
- 歯茎が下がり、歯が長くなる
- 歯に隙間があり、食べ物が詰まりやすい
耳鼻咽喉系の病気
代表例:慢性副鼻腔炎(ちくのう症)、咽頭・咽喉の炎症など
鼻かぜや花粉症が長引くと、鼻の奥にある副鼻腔(ふくびくう)の炎症が起こります。慢性的な炎症は膿を発生させ、そこから悪臭が発生。
また、鼻づまりによって口呼吸になることで口内が乾燥して菌が繁殖する可能性もあります。
ちくのう症の主な症状はこちら。
- 鼻が詰まって息苦しい
- 黄緑色の粘着質な鼻水が出る
- ボーっとして集中力が続かない
- 頭痛
- 食べ物の味が分からない
私自身もちくのう症経験者。なかなか風邪が治らないなと感じて病院に行ったときには結構進行していて、結局小学校の3年間も通院することに…特に鼻の洗浄がかなり辛かった記憶があります。
後回しにしていると治療も大変になるので、ちょっとでも気になることがあればすぐに耳鼻科へ行ってくださいね。
内科系の病気
代表例:糖尿病、肝臓・腎臓の疾患など
糖尿病や内臓の疾患によって生じるにおいは「アセトン臭」と呼ばれます。
アセトン臭は甘酸っぱいにおいが特徴で、よく腐ったフルーツに例えられます。
マニキュアの除光液にもアセトンが含まれていて、ツーンと鼻にくるあの感じを思い浮かべると分かりやすいかも。
糖尿病の主な症状はこちら。
- 喉がすぐ乾く
- 頻尿
- 手足の痺れ
- 目のかすみ
- 疲れやすい
- 傷が治りにくい
心理的口臭
身体的口臭とは違い、心理的口臭は精神状態に大きく影響される病気です。
他人にもはっきりと分かる臭気が「真性口臭」と呼ばれるのに対し、本人しか認識していない(または臭いと思い込んでいる)においのことを「仮性口臭」といいます。
自臭病
仮性口臭の最も代表的な病気が「自臭病」です。
自臭病にかかってしまうと、実際には口腔内は清潔に保たれているにもかかわらず、一種の強迫観念によって自分の口臭に悩まされることがあります。
うつ病や醜形恐怖症との合併のリスクもあり、精神科や心療内科で心のケアをすることが必要です。
まとめ
口臭の中でも専門医療機関での治療を要する「病的口臭」。もし思い当たる症状があれば、早めに病院で診察してもらうことをおすすめします。
- 病的口臭は身体的/心理的口臭に分類される。
- 身体的口臭は口腔系の病気だけでなく、全身の健康状態に関わるもの。
- 心理的口臭も治療対象。精神科や心療内科でのケアが必要。
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