私はもともと顎がかなり小さく、歯を並べるために親知らずを4本すべて抜いています。特に下の歯は口腔外科の先生に感心されるほどしっかり根を張っていて、歯茎を切開して歯を砕いてからの施術というなかなか大掛かりなものでした。
医者の腕が良かったのか痛みや腫れが気になることはほとんど無かったのですが、1度だけ抜歯後の穴から骨が露出して口臭がキツくなってしまった経験があります。
当時は知りませんでしたが、このような症状は抜歯後にみられる「ドライソケット」という合併症の一種だそう。この記事ではドライソケットの予防方法を紹介します。
目次
ドライソケットとは
ドライソケットは別名「抜歯創治癒異常」「抜歯窩治癒不全」などと呼ばれ、抜歯後の穴が上手く塞がらなかったり治りが悪かったりする症状です。
ドライソケットとは、抜歯後の傷に血餅(血液がゼリー状になったもの)がみられないために歯槽骨が露出し、傷に強い痛みがあることをいう。
Wikipedia-「ドライソケット」より引用
かさぶたのような役割をする血餅(けっぺい)が何かの拍子で剥がれてしまうことが主な要因だそう。
下顎の抜歯後に発症する確率は20%
日常生活ではあまり耳にしないドライソケットですが抜歯後の発症率は2〜4%、下顎に限れば約20%まで確率が上がると言われています。
上の歯が薄くて血流がいいのに対して下の歯は厚くてあまり血の流れがよくないらしく、傷口を守る血餅が形成されづらくなってしまうのです。
参考 埋伏歯(親知らず)抜歯の合併症は? ドライソケットとは?【抜歯後の治癒過程で障害を受け,血餅が形成されずに歯槽骨が露出する病態】日本医事新報社実際、私がドライソケットになったときも下の親知らずを抜歯した後でした。
無理な歯磨きは厳禁
私がドライソケットになってしまった理由として考えられるのは、傷口をいじりすぎたこと。舌で穴を確認してみたり、爪楊枝で溜まった食べカスを取り除こうとしたりと何かにつけて触ってしまっていました。
外から強めの刺激を与えたことで、治癒段階の初期にあたる血餅の生成を阻んでしまっていたのです。
骨が細菌に触れることで口臭悪化
歯磨きのしづらさや違和感もさることながら、私がドライソケットになって1番嫌だったのが自分の口のにおい。
親知らずを抜いた後は食べ物が詰まって嫌なにおいがすることは経験から知っていたのですが、ドライソケットのときはその上をいく臭さでした。
よく口臭をドブに例える人がいますが、まさにそんな感じの生臭いにおいが約2〜3週間にわたって鼻に伝わってくるのは地獄です。
ドライソケットの予防方法
抜歯後の清潔を心がけることは大前提として、ドライソケットの予防につながる方法をいくつか挙げてます。
抜歯後の傷口は触らない
自戒を込めて書きますが、歯を抜いた後の穴は触ってはいけません。なんだか不思議な感じがして舌で確認したくなるものですが、せっかく治癒しようとはたらいている血餅を剥がしてしまう可能性があります。
食べカスが穴に入ってしまった場合は、優しくうがいをすることである程度取り除くことができますよ。イソジンなどの消毒薬を使うことも口臭対策に効果的です。
飲酒・タバコを控える
抜歯当日はお酒やタバコは控えるようにしましょう。傷口の治りを早めるためには血圧を安定させて血餅の形成を促す必要があります。
飲酒は血圧を上昇させてしまい、反対にタバコは血圧を低下させてしまうそうです。特に喫煙時は歯茎の血流量が減る傾向があり、傷が治癒しにくいことも示唆されています(1)。
運動しない
運動もお酒と同じく血圧を上昇させる可能性があります。さらに、スポーツをするときには走ったり飛んだりと身体に振動が伝わる動きをすることも多いですよね。
少なくとも当日は安静にすることを心がけ、なるべく早く治癒できるようにしましょう。
お風呂に浸からない
私も抜歯をしたときは湯船に浸からないように念押しされました。熱いお風呂に入って身体が温まってくると、血流が促進されて止血が難しくなってしまいます。
血餅をスムーズに生成するためにも、当日はシャワーにとどめた方が無難ですね。
まとめ
今回は「ドライソケット」という症状の予防法を紹介しました。あまり聞きなれない名前なので他人事だと感じるかもしれませんが、下顎に関しては実に4〜5人に1人が発症している身近な合併症です。
親知らずを抜いた後は予防を忘れず、口の不快なにおいを取り去りましょう。
- 抜歯後の傷口を触らない
- 飲酒・タバコを控える
- 運動しない
- お風呂に浸からない
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