スーパーやコンビニに買い物へ行くと、「糖質オフ」「ロカボ」など低糖質をうたう商品を多く見かけるようになりました。こういった商品は主食のご飯やパンを控えて、野菜や肉・魚などのおかずを中心に摂取することを勧めています。
流行中の糖質制限ダイエットですが、主食さえ気を付ければ何を食べてもいいと勘違いしている人や必要以上に糖質をカットして栄養不足に陥っている人は少なくありません。
また、糖質制限のやりすぎは健康状態だけでなく口臭にも悪影響を及ぼすことを知っていますか?この記事では糖質制限によって口臭が悪化する原因を解説します。
糖質制限の基本情報
ここ数年で「糖質制限」というワードを耳にすることがかなり増えましたが、一体どういうものなのか説明できる人は少ないのではないでしょうか。
糖尿病患者のための食事療法
そもそも糖質制限は糖尿病患者のために考案された食事管理法です。日本ローカーボ食協会によれば、糖質制限の基本的な方針は以下のとおり。
炭水化物を含む食品を夕食または朝食と夕食に制限する、そして蛋白質や脂肪はいくら食べても構わなという単純な食事療法で、カロリー計算は必要ありません。
日本ローカーボ食協会「ローカーボ食による治療-基本-」より引用
糖質を制限することで肥満や高血圧の原因になる急な血糖値の上昇を抑えることが大きな目的のようですね。
過度な糖質制限への警鐘
糖質制限といってもその実践方法はさまざまです。
アメリカ人医師であるロバート・アトキンス氏が1970年代に提唱した「アトキンスダイエット」は、1日の糖質摂取量を20〜40gに制限することで肥満を解消できるとしました。この数字は糖質制限の中でもかなり厳格。
極端な糖質制限の危険性については国内外で注意喚起されていて、日本糖尿病協会も科学的根拠のない情報に基づいた民間療法に警鐘を鳴らしています。
糖質制限が口臭を引き起こす原因
度を超えた糖質制限は身体への負担を増やす可能性があると同時に、口のにおいを強くするリスクも秘めています。
脂質酸燃焼によるケトン体の発生
一般的な食事を摂っている人の場合、活動するための燃料は摂取エネルギーの半分を占める糖質から優先して作られます。一方、糖質制限の考え方でエネルギー源になるのは脂質やたんぱく質など糖質以外の成分です。
私たちの体内で脂肪酸が分解されるときに発生するのが「ケトン体」という物質。ケトン体は肝臓で作られたあと血液の中へ放出され、心筋や骨格筋など全身の筋肉の栄養源になります。
実はこのケトン体こそが口臭を悪化させる一因。血液中に占めるケトン体の割合が増加すると、息や尿に混ざって果物が腐敗したようなにおいが排出されます。
咀嚼数の減少
糖質制限をしながら必要カロリーを満たすことは意外と難しく、主食が減ることで食事量や総摂取カロリーが減少することも考えられます。食べる量そのものが少なくなれば咀嚼数まで減ってしまうのは自然なこと。
本来噛むことは唾液の分泌を促し、口の中を清潔に保つ作用があります。咀嚼数が不足することで口内が乾燥するとにおいの原因になる口内の細菌を繁殖させかねません。
私は歯列矯正の経験者なのですが、器具の締め付けによる痛みがあった時期は食事量が激減。口の閉じにくさも重なって、当時は口臭が強くなった記憶があります。

食物繊維不足による腸の乱れ
ここまで糖質という単語を使ってきましたが、糖質は炭水化物と食物繊維に分類できます。多くの場合、糖質制限の対象になるのは炭水化物ですが、炭水化物をカットすることで食物繊維まで不足してしまう可能性があります。
食物繊維には便を押し出す腸の蠕動(ぜんどう)運動を促進するはたらきがあり、十分に摂取していないと腸内細菌のバランスが崩れることも。
腸が乱れて悪玉菌が増加してしまうと、有害物質を含むガスが全身にめぐり口臭や体臭の原因になってしまうのです。
まとめ
流行していて手軽だからと言って間違った方法で糖質制限をするのはとっても危険。過度な糖質制限は身体の健康状態を損ねるだけでなく、口臭が悪化するリスクもあることを頭に入れておきましょう。
- 脂肪酸の分解が促進され、ケトン体が発生する
- 咀嚼回数が減少することで口内が乾燥する
- 食物繊維不足で腸内のバランスが崩れ、悪玉菌が増加する
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